リサーチレポート 「ワーケーションから考える新しい働き方」
実践者調査から見えてくる
普及のための「10のポイント」

コロナ禍により、新しいワークスタイルとして急激に認知が高まった「ワーケーション」。一方で、普及には課題も見えてきました。効果的に実施するためのポイントとは?リゾートに関わる企業・団体・自治体のハブとなり、リゾートビジネスのこれからと、リゾート地を拠点とした新しい働き方・暮らし方を考えるリゾートビジネス研究会が、2022年1月にワーケーション経験者に対して行った「ワーケーションを実施した個人に関する調査」から、ワーケーションの実態や課題が明らかになりました。

目次

ワーケーションは知られているけど、普及はこれから

リゾートビジネス研究会は、2020年4月に発足、年10回の定期研究会を通じ、会員企業相互間の交流促進と日本のリゾートビジネスの健全な発展を目的として活動しています。年度末にはリゾート白書を刊行し、リゾート・観光産業に関わる各種データや、リゾートに関する意識、リゾート地を拠点とした新しい働き方・暮らし方に関する調査研究報告を発表しています。
今回の「ワーケーションを実施した個人に関する調査」は、ワーケーションの認知、導入状況、今後の意向の把握はもとより、奇しくもコロナ禍で普及が進んだリモートワーク(テレワーク)のような新しい働き方を足掛かりにしながら、どのような形であれば、ワーケーションといった考え方、働き方、休み方が日本企業に浸透していくのか、それにあたっての課題や普及啓発のヒントを探す手がかりとしたく実施しました。

調査タイトル
「ワーケーションを実施した個人に関する調査」
調査対象者
これまでにワーケーションを実施したことがある有職者(パート・アルバイト除く)
調査手法
インターネット調査
調査実施期間
2022年1月20日~1月22日
※上記対象者抽出のため、有職者23,114名にスクリーニング調査を実施しました。

ワーケーションの実態(スクリーニング調査より)

●用語としてのワーケーションは認知度50%以上だが、実施経験者は2.8%と少ない。参考までに、リモートワークの実施率は37%となった。

●都道府県別に実施率をみると、東京都3.7%、神奈川県3.3%、千葉県3.0%、愛知県3.1%、大阪府3.0%と、オフィスワーカーが多い都市部が高い傾向にある。

●職業別では会社役員・業務委託、年代別では20代の比率が高い。女性は男性と比べると、全体値(2.8%)をやや下回っている。比較的、自身の采配で仕事ができる立場の人(イメージとしてはスタートアップの起業家など)から普及しているとも考えられる。

調査から見えてきた10のポイント

下記のとおり、調査結果から浮かび上がるワーケーション実施者の現状について、10のポイントとしてまとめました。

ワーケーションは知られているが実施はまだ、というのが大きな傾向です。

ワーケーションという言葉は「ワーク」と「バケーション」が組み合わさった言葉ですが、この二つが一緒になっているところに、日本人や日本企業が持つ「公私の切り替え」に関する倫理観、風土が普及の壁になっているのかも知れません。「遊んでいると思われるのでは」という社員の不安、「日常とは全く異なった環境で社員は仕事に集中できるのか」という経営側の懸念などです。

実施者の殆どは、<都市部で><一人で><日常業務の延長を><1~3回程度>、“お試し的に”取り組んでいる人であることがわかりました。あわせて、ワーケーション中も、仕事とプライベートは5:5、勤務時間もいつも通りと、勤勉な日本人の姿も浮き彫りになりました。

一方で、実施者にとっては、リフレッシュや非日常で得られる刺激・交流などの効果も感じられており、実際に行った人の多くが、「今後も行いたい」と答えています。ワーケーションをしたい場所は、温泉地、ビーチリゾート、山岳リゾートなどを上位にあげていることから、非日常性を高めたリゾートワーケーションの導入が、普及・啓発を後押しすることにも期待できます。

また、一部ではあるものの、ワーケーションが常態化している超ヘビーユーザーの存在も明らかになりました。こういった、効果的にワーケーションを活用している事例を共有していくことも、ワーケーション実施意向者を拡大していくことに繋がるのではと考えています。

社員と企業の費用の負担をどうするか、仕事の一環なのか福利厚生なのかという目的の明確化、安定した通信環境の提供など、企業や、受け入れ施設側の改善努力も求められるといえます。併せて、地方自治体、省庁をあげての助成制度の導入拡大が、今後のポイントとなると考えられるのではないでしょうか。

リゾートビジネス研究会では「ワーケーションを実施した個人に関する調査」を基に、普及・啓発に向けた考察を行っています。当調査レポートでは、ワーケーションの実態を明らかにするとともに、普及のためのポイントも提示しております。さらに詳しい調査結果をお知りになりたい方は「資料ダウンロード」から調査結果レポートをダウンロードください。

執筆者

村上 博信
日本経済社
リゾートビジネス推進室長 兼 リゾートビジネス研究会事務局長

平井 美英子
日本経済社
上席執行役員

※内容および執筆者の所属・肩書は2022年12月現在のものです

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