リサーチレポート 企業規模で差がつく「DX人材育成」「セキュリティ」意識
デジタル化推進のキーマンは?
業務のデジタル化と企業課題に関する調査2023

企業がデジタル技術を最大限に活用し、自社の企業風土やビジネスモデルに変革を促すデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める前段階として、「デジタル化による業務プロセス全体の最適化(デジタライゼーション)」は不可欠です。 業務プロセスのデジタル化を支援するソリューションやサービスが続々と提供されるなかで、その導入関与者も情報システム部門に限らず、あらゆる部門に広がっています。また、デジタル化に伴うセキュリティ・リスク管理や人材活用など新たな課題も生まれています。 日本経済社では企業の「業務のデジタル化関与者」がどのような課題を抱え、何を導入し、どういった情報を求めているのかを企業規模や職種、役職等による違いも含め把握する実態調査を実施いたしました。

本調査レポートの第1回目は【業務課題篇】として、「売り上げの拡大・マーケティング」「セキュリティ・リスク管理」「人材活用」「働き方改革・生産性向上」「コスト削減」の5つのテーマ、34個の課題のなかから、「セキュリティ・リスク管理」「人材活用」について「自社の課題となっているか」「自身は関与しているか」を聞いた質問から抜粋した結果をご報告します。

<調査内容>

調査タイトル
業務のデジタル化と企業課題に関する調査2023
調査対象者
「業務のデジタル化」に関与する従業員20名以上の企業に勤める会社員・会社役員1280サンプル
調査手法
インターネット調査
調査実施期間
2023年7月28日(金)~8月2日(火)

<調査サマリー>

①-1自社の抱える業務課題「セキュリティ・リスク管理」

【セキュリティ・リスク管理】

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トップ3
1.外部脅威の対策(32.4%)
2.ランサムウェア対策(32.1%)
3.内部の情報漏洩対策(30.9%)

上位には、内部および外部の脅威とサイバー脅威に関する項目が上がりました。
特に1,000人以上の企業で高いスコアとなっており、中でも「内部の情報漏洩対策」は他の企業規模に大きく差をつけトップの項目となりました。
個人情報の漏洩・紛失事故などは企業の信頼を損なうリスクもあり、特に多くの顧客データや機密を扱う大企業にとっては重要な課題であるといえます。
また、企業規模での差が比較的少ない課題としては「万一に備えた社内システムやデータの保護」があがりました。
20人~100人未満企業でも「外部脅威の対策」に次いで同項目が上位にあがっています。
一方で、万が一を想定した「システムの冗長化」や「インシデント管理」については企業規模によって差が開いています。
設備やシステムの故障に備えて、平常時から予備装置を用意する「システムの冗長化」や、システムトラブルを解消しユーザーの業務継続を支援する「インシデント管理」などの具体的な対策は、20人~100人未満企業では業務課題としてまだ顕在化していませんが、昨今のデジタル環境を考えるとこれからの課題として重要度を増すといえそうです。

①-2自社の抱える業務課題「人材活用」

【人材活用】

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トップ3
1.採用品質の向上(32.1%)
2.採用管理(29.0%)
3.マニュアル・教材提供による社員教育(27.0%)

人材活用に関する課題の上位項目はどの企業規模でも大きな差はなく、採用品質の向上と管理は共通の課題と言えます。
一方で全体では4番目となった「DX人材育成・活用」は、1,000人以上企業ではトップの課題となっており、20人~100人未満企業と比較すると最も大きな差が開きました。
また「リスキリング」も1,000人以上企業とその他企業との差が大きい項目となっています。
社内のDX化に伴う新しい人材育成とその方法としてのリスキリングについて、その必要性を重視しすでに動いている大企業に対し、中規模企業では採用や育成の難しさも含め着手はまだこれからという様子が伺えます。

続いて、上で選んだ業務課題の中で、自身が関与しているものを選んでもらった設問を、職種別で見ていきます。
※集計は全数で行っています
※職種は抜粋しています

②-1業務課題への関与「セキュリティ・リスク管理」

【セキュリティ・リスク管理】

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全般において「情報システム」の関与が高いですが、「災害時における社員の安否の確認」については「総務」「経営企画・事業開発」の関与が高くなります。
また「内部の情報漏洩対策」や「外部脅威の対策」については「経営企画・事業開発」の関与が比較的高く、職種を横断した全社課題となっているようです。

②-2業務課題への関与「人材活用」

【人材活用】

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「人事・労務が関与するもの」と思われがちな人材活用ですが、「採用管理」については「総務」の関与も高くなっています。また、「マニュアルによる社員教育」は職種間の差が最も小さく、さきほどの従業員規模別の業務課題のスコアでもあまり差がなかったことからも、全社的に取り組む入口とも言えそうです。一方でまだ取り組み自体は全体的に低い結果となった「組織開発・エンゲージメント向上」や「リスキリング」では、「経営・社業全般」の関与が高く、経営主導での取組であることが伺えます。

<課題解決のためのデジタル化提案のポイント>

デジタル化が進むにつれ、セキュリティ・リスク管理はその企業規模を問わず重要となり、20人~300人規模の企業であっても大企業と同様の課題感を持つことが望まれますが、万が一に備えたシステムをどのようにすべきか等、解決方法が具体的にイメージできていない可能性があります。セキュリティに関するシステムやツールの選定に至る以前の「何かしなければ」をくみ取って、その解決策について気づきを与える必要がありそうです。合わせて、DX人材の育成やリスキリングへの課題意識も大企業と大きな差があることから、専門人材の不足を補完する方法としての提案するソリューションの魅力と同時に、将来的なDX人材の重要性も併せて説いていくことはさらなる関係性の構築に繋がるかもしれません。
また、「総務DX」や「人事DX」など、あらゆる業務プロセスでデジタル化が進むことで、決裁に至るまでの導入の起案やシステム・ツール選定などへの関与は情報システム部門だけでなく、これまでデジタルやシステムとは無縁だった部門もその役割を担うことになります。課題解決の提案をする立場としても、既存とは異なるターゲットとそのリテラシーや選定プロセスを考慮したアプローチが必要となるといえるでしょう。

ダウンロード資料では、掲載された設問の他の業務課題のグラフなど、役立つ情報をご提供しています。「資料ダウンロード」ボタンより、ダウンロードのうえご活用ください。

●業務課題(設問項目)一覧

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<「業務のデジタル化と企業課題に関する調査」の内容>

企業の「業務のデジタル化」において顕在化している課題、またその課題への関与、推進にあたっての障壁などについて企業規模別(20人~100人未満、100人~300人未満、300人~1,000人未満、1,000人以上)、役職(役員・経営者クラス、部長・本部長クラス、主任・課長クラス、一般社員)、職種別に分析しています。

  • 業務課題取り組み状況、自身の関与
  • 業務のデジタル化を進める上での重視点
  • 業務のデジタル化を進める上での障壁、導入後の課題
  • その他デジタル化関連製品・サービス導入状況やメディア接触についても調査しています。

執筆者

彦坂 貴子
日本経済社
統合マーケティング局マーケティング3部
企業DX推進実態調査プロジェクト

※内容および出演者の所属・肩書は2024年1月現在のものです。

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