インタビュー(対談)
企業の成長を加速する
パーパス・ブランディング

VUCAの時代に企業も個人も“拠り所”を求める中、パーパスへの注目が一層高まっています。そこで組織のパーパス・ブランディングをサポートする日本経済社(以下日経社)がパーパスと企業のありかたを考える新シリーズをスタート。 第1回の今回は、早い段階からパーパス・ブランディングに注目し、独自のメソッドによって多くの企業のパーパスを手掛けるエスエムオー株式会社の齊藤三希子CEOをゲストに迎えました。パーパスがなぜ企業活動や働く人にとって重要なのか、企業価値との関係性など、事例を含めお聞きしました。また、インタビュー全編については、ダウンロード資料限定でご提供していますので、ダウンロードのうえ、ぜひご活用ください。【ダウンロードはこちら】

出演者
齊藤 三希子氏
エスエムオー株式会社
CEO

インタビュアー
平井 美英子
株式会社日本経済社
上席執行役員
目次
今なぜパーパス・ブランディングが重要なのか
存在意義を示さなければ生き残っていけない
平井 美英子(以下、平井):ビジネスだけでなく、あらゆる場面でパーパスという言葉が聞かれ、私たちもお客様からパーパスに関するご相談を受ける機会が増えています。
齊藤 三希子氏(以下、齊藤):企業の社会的意義の重要性が問われる時代へと加速するなか「自分たちが何のために存在するのか」を表明できなければ生き残っていけない、そんな気運になってきました。株主のみならず、すべてのステークホルダーに向け、自分たちの存在意義を示し、社会とともに成長していくことが求められる世の中になっています。
平井:パーパスが社会の変化の影響を受けているということですよね。コロナ禍、Z世代に象徴される消費行動の変化や個人の働き方・生き方といった価値観の多様化など、様々な影響が考えられます。日本でいち早くパーパス・ブランディングを手がけてきた齊藤さんは、このムーブメントの高まりをどうご覧になっていますか。

齊藤:パーパスがメインストリームになってきたのはリーマンショック以降です。デジタルパイオニアと呼ばれるミレニアル世代の人たちが、給与や福利厚生などの条件以外に、自分たちがどう社会に貢献できるのか、社会的意義を重視して就職先を選ぶようになったことがパーパスの広がる種となりました。
その後、GAFAに代表されるテック企業の急伸で社会変革が起き、「未来」のビジョン以上に、変わらないものは何か、なぜ自分がここにいるのか、組織や個人が「今」を問うようになりました。コロナ禍で自分に問いかける時間が増えたことも、ムーブメントの背景にあると考えています。今のビジネスをけん引するミレニアル世代からの支持を得るためにも、組織にパーパスが欠かせなくなりました。
トップから現場まで
パーパス共有が企業価値向上の源泉に
平井:エスエムオーさんでは、パーパス、ビジョン、ミッション、バリューズを企業理念の4要素と呼び、ビジョンは未来形、パーパスは現在形であって「今この瞬間の存在理由」と定義されています。そしてパーパスとビジョンをつなぎ実現するのがミッションであると。とてもわかりやすい定義で、私もお客様にパーパスを説明する際に使わせていただいています。そして「なぜ存在するのかを見つけるところがパーパスであり、つくるのではなく、自分たちのなかに発見していくものです」とお話しをすると、納得していただけます。
齊藤:何のためにやるのかを明確にすることで社員・経営者のモチベーションやパフォーマンスも上がり、企業価値向上につながります。個人のパーパスと企業のパーパスが重なるとさらにその力は大きく、組織を一致団結させる理念のひとつがパーパスです。トップから現場まで、全員が言語化された判断基準であるパーパスという北極星を持つことによって、個人と企業のパフォーマンスが相乗的に向上し、それが企業の成長を加速する力になります。
策定だけでは意味がない、
いかに浸透させ、実現させるか
パーパスが浸透している企業か、
優秀な学生は見抜く
平井:パーパスは策定して終わりではなく、如何に浸透させていくかが重要だと思いますが。
齊藤:まさに、策定はスタートでしかありません。パーパスへの理解・共感を深めるために組織内で日々検証し、どれだけ自分たちがパーパスに基づいて行動しているかをチェックしていくことが重要です。浸透させ続ける活動として、研修やタウンホールミーティングなど、私たちもさまざまな形でお客様をサポートしています。

平井:策定後の浸透が大事だとお話しすると、ハードルが高いように思われる場合があります。また、パーパスが耳触りのいい言葉に捉えられ、簡単に作りたいというお客様の声もありますが。
齊藤:策定・浸透には大変なプロセスもありますが、そこを乗り越えていくと「やってよかった」とみなさん感じられています。パーパスを発見することにより、その後の企業としての行動の根幹、判断の基準が明確になると実感されるからです。
平井:策定・浸透を通して、売上が伸びた、あるいは採用で応募が増えたといった具体的に企業の成長に関わった事例はありますか。
齊藤:採用に関しては、パーパスを明確に掲げることで意識の高い学生からの評価が得られます。ただし重要なのは、パーパスをもとに事業活動をしている点を伝えることです。学生はパーパスを実現させている企業をきちんと見ていますし、企業はよい学生が採用できています。
また社員が同じ方向を向き、経営幹部だけでなくマネージャークラスや現場も経営者の視点で活動できるため、売上が伸びるケースもよく見られます。
私が驚いたのは社長人事で、思い切った承継をされるケースがありました。理由を伺うと「パーパスを実現してくれるのは彼しかいなかったから」という答えが返ってきました。
コミュニケーション戦略のキーアイテムになる
平井:採用活動、事業拡大、事業承継、すべてにおいてパーパスの存在・浸透がステークホルダーに対して効果をもたらし、企業価値向上につながっているということですね。
パーパスはインナーへの浸透と同時に、アウターへ積極的に発信し、ステークホルダーに認識してもらうための、コミュニケーション活動も重要だと思います。
齊藤:判断の拠り所があれば、コミュニケーション戦略が立てやすくなります。Appleはよい例で、コロナ禍でも素晴らしいクリエイティブを発表していますが、やはりパーパスが隅々にまで行き渡っているので、コミュニケーション戦略も素早い対応ができたのだと思います。
平井:コミュニケーション戦略が明確かつ、スピーディーに効率的にもなる、ということですね。ブレないブランディングができるということで、コーポレートコミュニケーションを生業としている私たちとしても、パーパスを軸にお客様の企業価値を高めるサポートができます。
齊藤:パーパスのポイントは言葉です。社内のみんなが納得して腹落ちし、ステークホルダーが聞いてワクワクするような言葉でなくてはなりません。そこはコミュニケーションのプロである日経社さんや私たちがサポートすることによって、より活用度の高いパーパス・ブランディングが可能になります。

経営戦略の根幹として課題解決、成長加速へ
投資家が高い関心を寄せるパーパス・ステートメント
平井:御社の最近の調査では、東証プライム上場企業の中で、明確にパーパスという表現を使ってステートメントを掲げている企業は5%でした(2022年6月)。95%の企業がまだ未策定であり、私たちがお客様のサポートをできるチャンスが多いのではないかと考えています。齊藤さんは5%という数字をどう捉えていますか。
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※内容および出演者の所属・肩書は2022年12月現在のものです