インタビュー(対談) コロナ禍で迎えた創立120周年
新聞広告で社員全員の一体感を醸成

消防設備の専門メーカーである初田製作所では、創立120周年事業の一環として、日本経済新聞に広告を出稿しました。その目的は、120周年を迎えてのメッセージを社内外に発信するとともに、同時期に合併した企業の社員との一体感を醸成することにありました。日本経済社(以下日経社)では、同社の周年事業のコンセプト策定から始まり、120周年記念広告の企画からデザイン、制作までを支援させていただきました。周年広告制作の裏側について、初田製作所経営企画室長の佐藤淳也氏をお迎えし、お話を伺いました。
なお、本コンテンツは、日本経済新聞社主催の日経マーケティングポータルセミナー「従業員の士気向上に役立つ周年事業」をきっかけに対談を実施しております。

出演者

佐藤 淳也氏
株式会社初田製作所
経営企画室
室長

インタビュアー

神田 貴志
株式会社日本経済社
統合マーケティング局 マーケティング1部
部長

広告をシンボルに、合併した社員との一体感を深める

神田 貴志(以下、神田):まず、初田製作所様の企業概要について教えていただけますか。

佐藤 淳也氏(以下、佐藤):当社は1902年に京都で創立いたしました。ちょうど日清・日露戦争の前後ということもあり、日本や京都の街の「人命・財産・文化を火災から守る」ことを企業理念に掲げ、「二重瓶消火器」の製造販売を始めたのが原点です。近年では消火器よりも各種消防設備等の売上比率が大きくなり、特徴的な商品として半導体・工作機械用の、二酸化炭素による自動消火装置「CABINEX(キャビネックス)」があります。また、火災リスクの簡易診断事業「HTC(ハツタトリプルコンサルティング)サービス」にも力を入れています。

神田:このたび120周年事業の一環として、2022年12月1日付の日本経済新聞朝刊に広告を出稿されました。新聞の周年広告には、創立記念日の当日に発信できる即日性と、新聞というメディアが持つ信頼感に加え、特に日本経済新聞を利用する場合にはビジネスパーソンを中心に、社内外の広範囲にメッセージを届けられるというメリットがあります。今回、初田製作所様が周年事業の一環に新聞広告の活用を決めたきっかけと、その目的および想定したターゲット(訴求対象)についてあらためてお話いただけますか。

佐藤:創立120周年のちょうど1年前にあたる2021年12月に、子会社である株式会社ハツタテクノを合併し、さらに2023年1月には株式会社横井製作所との合併を控えていました。これにより、社員数が300名から730名(2023年1月1日現在)へと急増することになりました。それぞれの社風も異なることから、周年事業によって社員全員の一体感・求心力を醸成することが必要だと考えたのです。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が収まっておらず、社員や関係者を集めたリアルイベントの実施は控えざるを得ないため、シンボリックな取り組みとして新聞広告の出稿を決めました。

若い社員の感性を生かした広告を制作

神田:周年事業を行う体制には、大きく2つのパターンがあります。全社プロジェクトとして取り組む方法と、広報や経営企画部門等のメンバーによるプロジェクトチームを中心に進める方法です。前者は社員全体のモチベーション向上につなげやすい一方で、人数が多いため意思決定のプロセスが複雑になり時間がかかる傾向があります。後者は機動力が高く意思決定が速い反面、社員の参加意識を高める工夫が必要になります。初田製作所様の場合は、後者のプロジェクトチームが主導する体制でしたね。

佐藤:今回は時間が限られていることもあり、経営企画室や広告・広報部門から30代の若手社員5、6人を集めてプロジェクトチームを編成しました。古い世代が抱えている“しがらみ”や保守的な考え方にとらわれない、フレッシュな感性や発想を生かすとともに、次代を担う若者に経験を積んでもらうことも目的でした。広告の内容などは基本的に彼らに任せましたが、皆さん前向きに取り組んでくれました。

神田:日経社では、周年事業全体のコンセプト策定の段階から、新聞広告の企画、デザイン・コピーなど制作全般のお手伝いをさせていただきました。

佐藤:そうですね。数多くの周年広告の事例やデザイン案、アイデアなどを積極的にご提案いただきました。おかげさまで若いプロジェクトメンバーの間で、様々な角度から議論を深めることができ、大変感謝しております。

周年にふさわしいデザインを最後まで追求

神田:最終的に広告デザインを決定するまでには、社内でいろいろと議論が行われ紆余曲折があったと伺っています。その経緯を簡単にご説明いただけますか。

佐藤:まず、日経社さんにご用意頂いた多数のデザイン案の中から三案に絞りました。一つ目が実際の社員の顔写真を数多く集めて構成するデザイン、顔写真案。二つ目が消火器から煙が出る魔法のランプ案。三つ目がレトロ消火器をモチーフにしたレトロ案。検討の過程では、顔写真案は社員一人ひとりから了解を取るのに手間がかかることや、自分の顔写真を掲載することに抵抗があるという声が挙がりました。社員の一体感・求心力を考えると顔写真案にはこだわりがありましたが、最終的には、役員会において三案の中から二つ目の魔法のランプ案を採用することに決めました。

神田:実際に制作を開始してからも、急なデザインの変更などがあってご苦労されたようですね。

佐藤:はい、当初は初田製作所を象徴する製品の消火器をメインビジュアルにしていたんです。ところが、途中で横井製作所の主力製品の消火栓も加えてほしいという社長からの指示がありました。すでに写真撮影は終わっており日程的にかなり厳しかったのですが、合併後の一体感を表現するには必要だと判断して、急きょ追加撮影を行いました。日経社の担当の方には、時間がない中の突然の変更依頼に快く対応していただき、本当に助かりました。

神田:周年だからこそ、社員の皆さんの共感は最も大事なポイントですね。ご納得いただけるビジュアルに仕上げることができて良かったです。

新たなスタートを社内外にアピール

神田:完成した広告は消防の緊急電話番号119番と、120周年を表す数字を大胆に配置した印象的なデザインになりました。また、消火器と消火栓という合併・統合を象徴する広告となりましたが、その効果や評判等はいかがでしたか。

佐藤:社内の一体感・求心力の醸成という意味では、まだスタートしたばかりなので急激な変化は感じられませんが、今回の周年広告をきっかけにこれから次第に機運が高まっていくものと期待しております。一方、読者からの反響としては「わかりやすいインパクトがある」、「大きな119と120の数字が目に留まり、119はすぐ理解できるが120は何の番号かなと興味が湧く」、「消火器、消火栓がまず目に留まり、文章を読んでなるほどと思う」、「消火器という、地味ではあるが私たちが安全に暮らす上で欠かせないものをつくり続けている会社であることを初めて知った。100年以上も存続していることから、この企業の存在の強さ・必要性を感じることができた」などと、多くの肯定的なご意見をいただきました。また、社員の家族やお取引先からも広告をご覧になったという反応をいただき、社外に対するアピールとしては成功だったのではないかと考えています。

神田:社員のご家族やお取引先など多くのステークホルダーが好意的に受け止めてくれたのは、私たちとしてもうれしい限りです。こういった反響を受けて、社員の方々も120年続く重みや意義を感じられたとも伺っていますが、新聞広告を皮切りに、そのほかにも周年事業を進めていらっしゃいますね。

佐藤:120周年記念ロゴを制作し、名刺などに使用しています。また記念品の制作を進めているところです。今回は残念ながらコロナ禍のために実施できませんでしたが、次の130周年には、社員やお客様・関係者と一緒になってリアルイベントを開催したいですね。その際にはぜひ日経社さんにご協力いただきたいと考えておりますので、これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

神田:リアルイベントは社員の熱量がより伝わりますよね。130周年に向けて、こちらこそ引き続きご支援させてください。

日経マーケティングポータルセミナー「従業員の士気向上に役立つ周年事業」では、当社神田が専門家からの視点として、企業価値向上に向けた周年事業の始め方について講演しました。初めて周年事業に取り組む際のポイントについてわかりやすくご紹介しましたので、ご興味のある方は「資料ダウンロード」ボタンより講演資料をダウンロードください。

※内容および出演者の所属・肩書は2023年5月現在のものです

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