インタビュー(対談) 脱Cookie時代、効果測定が難しくなるなか、
「費用対効果の見える化」は重要課題に。
解決の糸口は?

インターネット広告の効果測定においては、Cookieレス、情報収集行動のマルチデバイス化、複数の広告指標やモデルの混在、競合環境の激化などにより、効果測定の精度が落ちたり、KPIのスコアが下がるなどの現象が起きています。その一方、広告主のお客様からは「どれだけ売りにつながったのか?どうやって売りにつなげていくのか?」がよりシビアに求められるようになっています。 マーケティングDXを総合的に支援する、株式会社KIYONO(以下、KIYONO)の清野CEOに、広告効果測定で起きていること、その課題と解決の糸口についてお話をおうかがいしました。KIYONOと日本経済社は昨年より業務提携を結んでおり、お客様のデジタルマーケティング活動を連携して支援しています。

脱Cookie時代、経営数字と広告効果測定のギャップ解消は待ったなし

服部 かな子(以下、服部):清野社長、まず、KIYONOさんの事業内容や特色をご紹介いただけますか?

清野 賢一氏(以下、清野):一言でいえば、マーケティング活動で得たデータの利活用を支援することです。広告手段はオンラインとオフラインに分かれますが、ユーザーは一人。オン・オフまたがってユーザーを特定することがデータ活用の第一歩です。そのデータを分析して広告に接触してもらい、eコマースでモノを買ってもらうためのマーケティング計画づくりに活用し、さらに新しい事業戦略・経営戦略づくりに役立ててもらえるよう、データ収集・統合・コンサルのお手伝いをしています。

私自身も2004年ぐらいから20年ほどインターネット広告に携わっていますが、そこで起きたことはまず、予約型のバナー広告から検索連動型広告の出現、そしてガラケーからスマホへの端末通信環境の進化です。そして遂にインターネット広告の売上がテレビCMの広告費を抜きましたが、最大の要因はCookieの登場だったと思っています。Cookieがあることによって何度もログインせずに、eコマースでモノが買えたり、外出してもスマホで興味あるコンテンツを楽しんだりできるのです。

この後、SNSや動画コンテンツが来るなど、いくつかの転換期を迎え今に至りますが、「どうやら(サードパーティ)Cookieが使えなくなるぞ」という出来事は、大変重要だと思っています。Cookieはサイトに訪問した人がどんな人でどんな行動をとっているかを収集・分析できる、簡単だけど優れた技術なので、これが使えなくなってきている中、企業が保有しているデータをどう利活用するかが課題となっているわけです。企業のデータを分析するとなると、SIer(システムインテグレータ)の領域にもなりますが、これとクリエイティブの領域が掛け合わせ、両方できるカルチャーを持つ会社であることがKIYONOの特色です。

服部:前にもKIYONOさんはエンジニアを多く抱えておられるとうかがいました。技術とクリエイティブの相乗効果がKIYONOさんの大きな力だと考えています。
本日の本題がすでに出てしまいましたが(笑)、私たちも、脱Cookieに関してお客様からお問い合せをいただくようになり、代替となる広告手段について検討しております。広告手段への影響もさることながら、広告効果測定に関して起きていることをもう少しお聞かせください。

清野:やはり、脱Cookieの流れ※1は大きいですね。影響は大きく2つあって、一つは広告効果測定がされづらくなる、もう一つがリターゲティング広告(ウェブサイトの来訪者に再び配信する広告)のための目印が貯めにくくなる。広告主にとっては測定上の効果と実際の効果が損なわれる、という悪循環が起き始めています。インターネット広告の持ち味であった「精緻なターゲティング」がどうやらできなくなるらしい、というのは深刻な問題ですね。広告の実施レポートを見てみると、確かに測定数が減ってきている。明らかにROI(投資収益率)は下がってきている。

いずれ広告主や広告会社はそれに気づき、問題意識が高まります。そうなって初めて予算のアロケーション(配分方法の変更)や効果測定をどうやっていくかという議論が始まります。これが広告業界で大きな騒ぎになるのは、私の肌感覚では、2~3年後くらいかなと思っております。

服部:今この段階で、お客さんが効果測定に求めることは変わってきているのでしょうか?

清野:今、というよりも前々からそうでしたが、広告会社が報告するクリックやコンバージョンと、広告主のお客様が求めている数字の乖離があって、Cookieが使えなくなることで、より鮮明になってくると思っています。お客様が求めている受注や売上などのKGI、資料請求や引き合いなどのKPIにどれだけ広告が貢献しているのか。経営数字と広告の効果をどれだけ紐づけられるか。今も変わらずお客様が求めていることです。

服部:確かに私が以前営業部門にいた時も、お客様との会話の中で感じられる課題でした。このギャップを埋めていくために何をやるべきでしょうか?

販売(CRM)データと広告効果測定データの紐づけで見える、優良顧客と最適解

清野:お客様の持っている経営数字に繋がる販売(CRM)データと広告効果測定のデータを突合させることです。ただし、すべての広告効果測定データを突合させる必要は無いと思っています。
インターネット広告は接触数を多くして認知を高める、資料請求のクリックを増やすなど様々な目的・役割がある中で、優先させて販売(CRM)データと突合させるのは、販売促進の要素が強い広告効果測定データです。

「オンラインとオフラインの広告効果を会員などに提供されているIDで突合させて、めちゃくちゃ先進的な話ですね」とお客様に聞かれたりしますが、先進的かどうかはさておき、「一応、紐づけておいて」、お客様と広告会社が同じ土俵の上で会話ができるインフラみたいなものをつくっておくことが大事だと思います。
その土俵の上で、予算配分をどうするか、どんなメディアやチャネルを組み合わせるか、どんなクリエイティブにしていくかを議論していく。測定できるものはできるだけ測定できる状態にしておきましょう、ということです。しっかりと効果測定しているお客様は、販促を目的とした獲得型だけでなく、リーチ(認知拡大)型のインターネット広告をやったりしています。

服部:そうなんですか!  私たちは、いかに効率的に目標数を獲得していくか、という意識で運用することが多いです。リーチ型の広告を実施するというのは、先のことを見据えてのことでしょうか?

清野:はい。計測していると「獲得単価は短期的にはこういう数字ですよね、でもそれでいいんですか?」という話になるわけです。一定のボリュームの中で刈りとるだけ刈りとっていると、獲得数はシュリンクしていきます。会社は売上を伸ばして成長することが大前提なので、リーチ型広告を実施して接触者を増やし、さらに効果を見てみるということになるわけです。

服部:BtoB企業で広告効果と経営データを突合する場合、どんな指標に注目していますか?

清野:例えば機器レンタル会社などは、この広告から受注があった会社からは、どの機器がどれくらいの期間レンタルされたかなどを見ていますね。 広告で獲得した顧客が、どれだけの種類、数、回数で買っていただいているかに着目して販売(CRM)データと紐づけて見ています。

服部:BtoB企業のマーケティングでは、時間と行程のかかる成約までの状況を把握し、また取引が始まってからは継続的な取引、商品サービスのヨコ展開の状況も把握しながら、広告施策と紐づけてどんなお客様が有望なのかを見極める必要がありますよね。

清野:多様な顧客が多様なコミュニケーションルートから入ってくる事業環境なら、広告含めて有効な「入口」を把握しておくことが有効です。

デジタルマーケティングに好循環をもたらすKIYONOのソリューション

服部: KIYONOさんは、ここまでお話しいただいた課題と解決の糸口を具体化し、サービスとして提供されていますよね。

清野: 二つご紹介しますと、
一つは、先ほど触れた「広告効果測定と経営数字のギャップを埋める」ためのソリューション
「“その広告、売上に繋がっていますか?”広告効果ちゃんとみえ~る」です。できるだけお客様の見ている係数と広告効果上の効果を紐づけ、見た目上の数字だけでなく、どれだけ売れていたか、その要因は何かを可視化します。
もう一つは「MAGNET」というCDP(カスタマーデータプラットフォーム)※2で、Cookieに代わってID(顧客・会員データ)を使って広告配信を行うことができます。

この2つのソリューションによって、「(サードパーティ)Cookieが使えなくなり広告効果測定がされづらくなる」「リターゲティング広告の目印が溜まらなくなる」という悪循環を断ち切り、好循環に変えていきます。

服部:これらのソリューションを活用いただいているお客様の反応や成果はいかがでしょうか?

清野:お客様からこんな話をうかがいました。
「運用型広告は、現在では機械学習によって配信会社のシステムが運用してくれる。では、我々と広告会社は何をすべきなのか? ”広告効果ちゃんとみえ~る”を活用することにより、何が本当の売上に繋がっているか、改善策をどうするかという議論に注力できている。」

「本当の広告効果が見えているか」から問い始める

服部:売上とつなげることにより、1コンバージョン(サイト上のアクション)の先にある価値を発見できるということですね。私たち広告会社としても、お客様と同じ土俵で同一の指標に向かって議論ができるというわけですね。KIYONOさんと一緒に、お客様にとって有効な効果測定とデータの活用をご支援していきたいと思います。

最後に、効果測定のやり方を見直し、しっかりPDCAのサイクルを回していくためのヒントをいただけますでしょうか?

清野:効果測定の土台をつくっておくこと、でしょうか。Cookieが使えなくなり、広告効果が測定しづらくなることを対岸の火事ではなく、自分ごと・自社ごととして捉え、広告効果が見えている状態を作っておくことだと思います。

服部:清野社長、どうもありがとうございました。
当対談記事をお読みいただいた皆様、どうぞお気軽にご質問・ご相談をお寄せください。

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※1 脱Cookieの流れ
Webサイトへのアクセス状況がわかるCookieは、広告出稿や効果測定に活用されていますが、個人情報やプライバシーの観点から問題視され、ユーザーがアクセスしたWebサイト以外から発行される「サードパーティCookie」の利用に法的規制が始まっています。ブラウザ側でも、Safari(Apple社)がサードパーティCookieを全面ブロック、Chrome(Google)も2024年に廃止すると発表されており、リターゲティング広告や効果測定に影響が出始めています。

※2 CDP
顧客の購買情報や属性など、多彩なデータを収集・統合・分析するデータ基盤

出演者

清野 賢一氏
株式会社KIYONO
代表取締役社長CEO

インタビュアー

服部 かな子
株式会社日本経済社
メディアソリューション局 デジタルメディアソリューション部

※内容および出演者の所属・肩書は2023年10月現在のものです。

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