イベントレポート 第1回リゾートビジネス研究会視察
ワイナリーを中心としたリゾートエリアの可能性を探る

当社が主催するリゾートビジネス研究会では、リゾートエリアの現状や新たな可能性に関する研究として、2023年10月4日に第1回リゾートエリア視察を実施しました。 初回として注目したのは、ワインツーリズム。コロナ禍を経て旅行需要が回復しインバウンドも増加する中、今後ワイナリーを中心とした長野県上田市のリゾートビジネス展開の可能性をご報告いたします。

ワイン産業の振興をすすめる長野県

長野県は、従来の取組みを深化させた「信州ワインバレー構想 2.0」(2023年3月)を新たに策定し、産学官の連携によるワイン産業の振興を進めています。ワイン産業の集積地として、桔梗ヶ原、日本アルプス、千曲川、天竜川の4つのワインバレーを形成してきましたが、近年、他の地域でもワイン産業は着実に活発化しています。加えて特区の認定も進み、2015年には、上田市、東御市をはじめとした8市町村共同での県内初の広域特区「千曲川ワインバレー(東地区)特区」が認定されました。特区制度などの施策は、新たな地域ブランドの創出や、地域の農業や観光をはじめとした各種産業の活性化につながることが期待されています。

ワインツーリズムに取り組むアジアNo.1ワイナリー

本視察ツアーでは、会員企業から15社24名に参加いただき、軽井沢からほど近い長野県上田市を訪問しました。長野県でホテルやゴルフ場、テレワーク施設を運営する企業が多く参加され、ワイナリーを中心としたホテルやテレワーク施設の開発など、第2の軽井沢としての可能性に高い関心をお持ちでした。
今回訪問した千曲川ワインバレーにある「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー」は2003年に上田市初のワイナリーとして開業し、ワインツーリズムに取り組む世界最高のワイナリーを選出する『ワールド・ベスト・ヴィンヤード2023』にて、日本のワイナリーで唯一4年連続で選出、世界第38位、アジアNo.1に選ばれました。今年で20周年を迎えますが、SDGsをテーマにしたツアーを開催するなど、今最も注目されているワイナリーのひとつです。東京駅から北陸新幹線上田駅まで約90分、上田駅から車で約20分の小高い丘に位置しており、都心からのアクセスが良いのもリゾートビジネスエリアとしては大切なポイントです。

ワイナリー長ご案内によるツアーを体験

現地では、椀子ワイナリー長の田村隆幸氏自らのご説明とともに約2時間のツアーをご案内いただきました。椀子ワイナリーの「椀子(まりこ)」は6世紀後半にこの場所が欽明天皇の皇子「椀子皇子」の領地であったことから「椀子ヴィンヤード」と命名。高品質なブドウ栽培適地を探していたところ、陽当たりの良さ、降水量の少なさ、排水性・通気性に優れたこの地に出会ったそうです。土地取得時は桑畑があり遊休荒廃地化していましたが、地元の方々の協力を得ながら、ブドウ畑へと転換、2003年、椀子ヴィンヤードを開場しました。それから16年、世界に認められるワインを生み出す産地となった椀子ヴィンヤードの小高い丘の上に、2019年9月「シャトー・メルシャン椀子ワイナリー」が誕生しました。しかしながら、「ワインのブドウ作りにおいての難しさもあった」とのことで、年々品種や作付面積を広げるなどの工夫を経て、現在のような世界に誇るワイナリーに至った歴史があります。こうしたワインの造り手から直にお話を聞きながら、その土地の自然や暮らし、歴史に思いを馳せながらワインを試飲することができることもワインツーリズムの魅力のひとつです。

東京ドーム6個分の畑を見学

いよいよ実際の畑の見学へ。東京ドーム6個分の広大な畑を歩きます。メルローやシャルドネ、シラーやソーヴィニヨン・ブランなど、約8種類のブドウを垣根式で栽培しており、特別に収穫前のブドウの試食もさせていただきました。ワインに使用されるブドウは想像以上に甘みが強く、参加者からも「これならフルーツとしても十分販売できる」「全く渋みを感じない」といった感想が多くありました。製造過程の工場も内覧し、当日朝に収穫したブドウの美しさには感嘆の声が出ていました。参加者も、自社で展開しているホテルや、レストランでの椀子ワインのサービスや、収穫体験&ワインペアリングのコース提供など、リゾートビジネスのマッチング機会を頭の中で描きながら興味深く田村氏の話に耳を傾けていました。
リゾートとしての中心にワイナリーがあり、その周辺で、宿泊をともなうリゾートエリア開発の可能性を十分に感じた視察になりました。

<10月4日第1回リゾートビジネス研究会、長野上田視察スケジュール>
① 北陸新幹線上田駅集合

② 「シャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリー」 

③ 信州リゾートテレワーク施設「+519worklodge」

④ 懇親会

※ワインツーリズムとは
ワイナリーを訪れて、その土地の歴史や文化を学び、醸造家から醸造工程を聞いてブドウ畑を巡り、その上でそこで製造されたワインと地元の食材から作った料理を楽しむツアーを指します。日本では山梨県勝沼のシャトーから始まった歴史があります。

リゾートビジネス研究会は、2020年コロナ禍の中、当社が日本経済新聞社と羽田未来総合研究所の共催で立上げたもので、日本のリゾートの健全な発展を目指し、金融、不動産、ホテル他の企業が参加しています。年10回の定期研究会と会員相互のコミュニケーションづくりやリゾートビジネスに関わる外部とのネットワーキングづくりを積極的に行っています。また独自調査やリゾート白書(年次報告書)も作成しています。ご関心のある方はお問合せください。

執筆者

日本経済社
執行役員
飛彈 匡宏

*内容および出演者の所属・肩書は2023年11月現在のものです。

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