コラム これからの「総合住宅展示場」の役割とは

※イラストはイメージです


初の「総合住宅展示場」の開業から50年。以来、家づくりを検討する人たちにとって、情報収集できる貴重な場所の一つとして、「総合住宅展示場」は発展してきました。しかしながら、社会のデジタルシフトとともに生活者の住宅購入行動も変容。「総合住宅展示場」は、今、その役割を見つめ直すべき時を迎えています。「総合住宅展示場」の社会的意義とは何か。これから家づくりを検討する人たちや、社会に対してどのような提案ができるのか。
今春、石川県・野々市に開業した「ホームセンタームサシ御経塚住宅展示場 MIRAIZUKA」の開設までの約3年に及んだ作業を通して、私たちは「総合住宅展示場」の役割を考えてきました。

デジタル化の進展と「総合住宅展示場」の普遍的な使命

外出制限や密回避など様々な不自由を3年にわたって私たちに強いてきたコロナ禍を経て、生活者の購買行動のデジタルシフトは一気に加速。商品によっては、手元に届くまで実物を見ることなく、ネット上の商品画像やコメントを確認し、ワン・クリックで即購入といった行動もごく日常的なものになりました。一生に一度といわれる注文住宅の購入もその例外でなく、絞り込みや比較のための一次情報の収集やモデルハウスの来場予約など、デジタルの比重は大きくなっています。生活者のこうした行動変容を背景に、住宅メーカー各社はホームページ上のコンテンツを競って拡充。SNSやウェビナーの活用、メタバースやVRといった最新のデジタル技術を駆使するなど、サイト訪問者の自社ファン化をはかり、契約に結び付けようとする動きが活発化しています。そうした試みの多くは、導入直後には大きな関心を集めて話題にもなりました。しかしながらモデルハウスで味わう感動体験や、メーカー・商品への安心感、信頼感の醸成など、これまで「総合住宅展示場」が提供してきた機能を代替するにはまだ至っていないのが現状です。

「御経塚住宅展示場」が提案する社会的課題への取り組み

今日の私たちの暮らしに直結する社会的課題を挙げれば、年々深刻さを増す温暖化、内外問わず発生する大規模自然災害、長寿命社会の到来など枚挙に遑がありません。こうした時代にあって、今年4月、石川県・野々市にオープンした「御経塚住宅展示場」は、社会的課題の解決に向けた提案型展示場として産声をあげました。テーマは「サスティナビリティー」「レジリエンス」「ウェルネス」「ニューノーマル」の4つ。集った住宅メーカーは、これら4つのテーマを具現化した独自の最新モデルハウスを展示。エネルギーゼロで暮らせる家、災害時でも大切な家族が安心して暮らせる家、歳を重ねても健康に暮らせる家、ポスト・コロナ時代の多様な働き方にも対応できる間取りの家…。「御経塚住宅展示場」は、住宅を通して社会課題を解決していくための様々な提案が詰まった場所なのです。

情報過多の時代だからこそ見直されるリアルな顧客接点

今、ネット上にはあらゆる情報が溢れています。その一方で情報過多ゆえにどの住宅メーカーを選べば良いのか判断しづらいという現実もあります。満足できる家を建てるためには、家族の趣味や生活スタイルだけでなく、お金のことや家族関係など、他人には話しにくいことまで安心して相談できるパートナーの存在が不可欠。「御経塚住宅展示場」では、住宅購入検討者のニーズを個別に汲み取り、最適な住宅メーカーをマッチングするコンシェルジュサービスを新たに採用し、経験豊富な住宅アドバイザーによる対面での相談サービスを提供しています。また、住宅検討層メインターゲットである20-30代の一次取得層のメディア接触を考慮して、従来の常識にとらわれないプロモーションを展開し、オープニングイベントには2600組(モデルハウス総来場組数)を超えるお客様に来場いただくことができました。平均で延床面積60坪前後の大きな各社モデルハウスでも、お客様との打ち合わせスペースに困るくらい混雑したところもあったほどです。また先述の相談コーナーでは熱心に相談する家族が何組も見かけられました。

ヒューマン・セントリックな場所であり続けたい

これから、とりわけ初めて購入しようとする人たちにとって、家づくりはまさにゼロからの作業。スマホやPCで見るだけでなく、リアルサイズの住宅に実際に触れてみる。そしてそこに家族との暮らしを投影し、最新のデザインや技術を体験しながら、質感や香りを五感で感じてもらう。家を建てたいと願う人たちへの気遣いこそ、「総合住宅展示場」の本質であり、理想の家を建てたいと願う人がいる限り、これからも普遍的に提供していかなくてはならない機能であると、私たちは考えます。

「総合住宅展示場」に関するお問い合わせは、日経社ハビタ21まで。

執筆者

株式会社日経社ハビタ21
営業本部営業1部 部長
鈴木英明

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