第1回リゾートビジネス勉強会 分譲コンドミニアムホテルセミナー開催報告

2019年7月に第1回リゾート研究会(主催:日本経済社)が銀座の日本経済社にて実施された。
日本経済社専務取締役保母拡一郎の挨拶の後、ホーワスHTL取締役マネージングディレクター 高林浩司氏が「ホテルコンドミニアムの事業特性と開発戦略」について、そして東急リゾート株式会社常務執行役員の岩澤宙一氏が「最新ホテルコンドミニアム事業紹介」について講演を行った。その概要を紹介する。

高林浩司氏

株式会社ホーワス・アジア・パシフィック,ジャパン
取締役マネージングディレクター
高林 浩司氏
「ホテルコンドミニアムの事業特性と開発戦略」

 昨今は投資利回り確保のために、コンドミニアムホテルがデベロッパーや個人投資家に注目されている。訪日外国人が増えているため、RevPAR(一室あたりの収入)の成長率は安定化してきている。しかし、すべての物件が恩恵を受けることができるわけではないので、ライフスタイルホテル、中長期滞在ホテル、ブランデッドレジデンス、コンドミニアムホテルなど、位置付けを明確化し、ポジショニングを確保していくことが最重要となる。
 ラグジュアリーホテルのブランド化で個人オーナーにマーケティングでき、安定したマーケティング活動ができる。特に海外富裕層向けに、余裕資産をどう運営するか提案できれば良く、レジデンス資産を開発することは富裕層にPRしやすい。日本国内ではリゾート立地の計画が先行しているが、世界的には都市立地におけるコンドミニアムホテルの比率が高いため、今後日本でも東京、大阪で増える傾向にあるのではと考える。ホテル側にとっても都市立地の方が安定経営できるのだ。
 デベロッパーにとっては、ホテルの事業資産化、高い販売価格の設定、開発資金の早期回収ができ、分譲ユニットオーナーはハード品質保証、ステータス感、レンタルプログラムによる収益獲得、リセール価格が落ちにくいなどのメリットがある。
 事例としては、沖縄は、日本人の購入者がほとんどになる。
北海道のニセコエリアは、外国人の購入者が9割以上。当初はオーストラリアとニュージーランドのバイヤーが多かったが、現在はアジアバイヤー比率が大半を占める。平均90平米、2ベットルームでの開発が主流だ。、沖縄の単価より高い。山やスキー場が見える景色の良さや、温泉に入れるなどの付加価値がある。
 成功要件としては、コンドホテル事業者(管理組合等)が、開発事業者、ホテル運営者、分譲オーナーとの間に入って、細かなサポートが重要となる。
 販売価格の決定については、期待利回りのコントロール、ブランド価値、立地、施設構成、レンタルマネジメントプログラム等の商品設計が重要となる。『コンドミニアムホテル=投資商品』としての認知度向上に伴い、平米単価や販売価格の上昇が見込まれている。
 日本国内でも高級レジデンスやホテルコンドミニアムの需要高まりが顕著となっている。販売価格を高めるには、投資商品化(収益不動産化)できるかが最大ポイントで、投資商品化するには、レンタルマネジメントプログラムの導入が必要となる。

岩澤 宙一氏

東急リゾート株式会社
常務執行役員 開発営業本部 本部長
岩澤 宙一氏
「最新ホテルコンドミニアム事業紹介」

 国内でホテルコンドミニアムが注目される背景には、訪日外国人観光客の大幅な増加によるホテル需要の高まりがある。年間の訪日外国人観光客数は2018年に3,000万人を突破しており、政府による2030年の訪日外国人観光客の旅行消費額の目標は2018年実績の3倍以上に設定されている。その他、少子高齢化の進行によって購入検討者の将来的なライフスタイルイメージの変容や、金利低迷による金融資産運用方法の多様化といった背景が挙げられる。
 購入者のメリットとしては「合理的な所有形態」、「高い流通性と資産性」、「利用価値」があることが挙げられる。オーナーが利用しない期間はホテルの客室として運用し、その売上げ収益の一部を賃料として受け取ることができる他、「現役で働いている間は収益目的で、リタイア後は利用目的で」、とライフプランに応じた活用を考えることもできる。そして、ホテルコンドミニアムはホテルの運営状況がその価値に影響するものの、他の区分所有不動産商品と比べ市場での流通性は高く、流通価格も下がりにくい特徴を持った商品として評価されている。
 事業者目線の特徴としては、一般の不動産分譲事業同様に短期間での資金回収が可能なため、次期プロジェクトに資金投資できる等、中長期の事業計画が立てやすい。また、物件にホテル機能という付加価値を付与することで、周辺の不動産相場を上回る価格設定での分譲が可能であることから「事業利益の最大確保」の可能性が高まる。
 事業化のポイントとしては、まずは物件の立地が「ホテルとしての需要が高い立地」であることだ。ホテルとして宿泊する魅力や利便性がなければ購入者である富裕層の関心は引けない。そして、立地と同じくらい重要なのが「ホテル運営会社の選定」である。水準の高い安定したホテル運営であれば、投資としての収益性と実利用の際の満足度を高めることができ、ホテルコンドミニアムの商品価値を決定するといっても過言ではない。その他、訴求力のある効率的な運営計画とコンセプトを実現するための各担当会社(管理会社、販売会社等)のセッティングも重要なポイントだ。
 国内において供給が活発なエリアは沖縄と北海道(ニセコ)である。
 沖縄エリアは通年を通して高い稼働が期待できるエリアで、2018年には観光入込数が980万人超、2020年には那覇空港新滑走路が完成する等、そのポテンシャルは高く、ホテルコンドミニアムの開発・供給が活発に続いている。
 北海道(ニセコ)エリアは海外からの人気が高いスノーリゾートとしてインバウンドから注目を集め続けている。特にグランヒラフスキー場の麓では外国のような街並みが形成され、活発にホテルコンドミニアムの開発が進んでいる。その勢いはニセコ以外のエリアまでおよび、ルスツやキロロにおいても同様の開発が見られる。
 国内ホテルコンドミニアム市場の今後の動向としては、すでに開発が活発な沖縄・北海道では少しずつ開発エリアは拡大し、供給は加速すると推察される。その他のエリアにおいても人気リゾート地である軽井沢や箱根、熱海。ニセコ同様、海外から人気の高いスノーリゾート地白馬。人気観光都市である京都等での展開が期待される他、東京、大阪、福岡等の主要都市エリア、ディズニーランドやUSJ等のリゾートレジャー近郊エリア、将来的にはカジノ等IRに関係した高いホテル稼働が期待できる環境下での開発も大いに期待されている。